アコースティックギターのお手入れの仕方、メンテナンス方法

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「アコギのメンテナンスってどんなことをすれば良い?」と疑問をお持ちの方は多いと思います。

“メンテナンス”とは言っても、その内容は日常の基本的なお手入れから、たまに行う少し特別なものまで色々あります。

これらのことを知っておけば、ギターを良い状態に保つことができます。さらには、より愛着も湧いてくることでしょう。

今回は、日常で行う基本的なお手入れと、たまに行う特別なものに分けて、アコギのメンテナンス・お手入れの方法を解説していきます。

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アコギのメンテナンス1・日常で行う基本的なお手入れについて

日常的に行う、基本的なメンテナンスには以下のことが挙げられます。

・温度、湿度管理
・直射日光注意
・こまめに弾く
・演奏後、弦やギター本体を拭く

これらのことを順に詳しく解説していきます。

アコギの保管場所の温度・湿度管理

アコギの保管場所の問題は、大切なメンテナンスの1つです。

アコギはほとんどの部分が木でできています。そのため、温度や湿度の影響を受けやすいという特徴があります。

温度・湿度が高すぎたり低すぎたりする場所は避け、寒暖差の生じない所で保管しましょう。とは言え、四季のある日本では難しい面もあります。完璧な管理をすることはできなくても、家の中で通年の寒暖差ができるだけ少ない場所に置くようにしましょう。

というのも、温度や湿度の影響で、ギターが変形してしまうことがあるのからです。ですので、保管する場所の湿度を適度に保つよう心掛けましょう。

では、適度な温度や湿度がどれくらいでしょうか。これを数値で表すと、気温は20~25度、湿度は40~60%程度と言われています。

部屋の温度・湿度計を時々確認し、適度に保たれているかを気に掛けると良いですね。仮に温度・湿度計がない場合でも、自分自身の肌感覚で確認することが出来ます。

適度な温度や湿度が保たれた環境は、人間にとっても過ごしやすい環境です。ですので、あなた自身が「過ごしやすい」と感じる環境で保管すると良いでしょう。

この時、注意したいのがエアコンの風です。たとえ温度・湿度計が適度な数字を示していても、エアコンの風が直接当たる場所に置いておくとギターが乾燥してしまいます。人間の肌と同じですね。

ですので、エアコンの風が直接当たらない場所に、ギターを置くようにしましょう。これは、温度変化の点から見ても気を付けたい点です。

また、ギターケースに入れて保管する場合は、適度な湿度に保ってくれる「調湿材」を一緒に入れておくと良いです。

温度や湿度については、地域や環境によっても事情が異なります。すると当然、住んでいる場所によっても管理方法が違ってきます。基本的には「人間が過ごしやすいところ」と考えておいてください。

「この環境はギターにとって良いか?」ということを、日ごろから少し意識してみてください。これがギターのメンテナンスの第一歩です。

直射日光の当たらない所で保管する

先述の通り、ギターの保管場所の温度や湿度を気にかけることは大切です。それともう1つ、保管場所について注意しておきたいことがあります。それは、直射日光に当たらないようにするということです。

なぜかというと、直射日光が当たることで、ギターの木の部分が急激に乾燥していくからです。これによってギターが変形してしまうのです。

私の知人で屋外でのライブイベントに出演された方から、日光に当たる場所にギターを置いておいたため、ギターのボディが割れてしまったというお話を伺ったことがあります。

このように直射日光は、ギターに大きな影響を与えます。ですので、窓際など、直接日が当たる場所での保管は避けましょう。もちろん、ストーブ近くなどの熱すぎる場所も気を付けなければなりません。

ギターの一番のメンテナンスは、こまめに弾くこと

“アコギのメンテナンス”と聞くと、何かを塗ったり、クリーニングしたり…という事が思い浮かぶかもしれません。ですが、ギターの状態を保つために最も大切なことは“こまめに弾く”という事です。

よく、「人が住まなくなった家は傷む」と言われます。これは、風を通したり掃除したりすることがなくなると、湿気が溜り、家としての良い状態を保てなくなってしまうからです。

アコースティックギターもこれと同じで、定期的にきちんとチューニングされ、弾かれている状態は、ギターにとって“良い状態”と言えます。ですので、こまめに弾くという事は、「その度にギターを良い状態に戻している」とも言えるでしょう。

これをせずに放置しておくと、まずチューニングが狂います。すると、バラバラな調律に合わせてネックが変形し、それに伴ってボディも…と次々と影響が及んでいくのです。このため、こまめに弾くという事が何より大切なのです。

また、よくギターに触ることで、調子の変化にも気づきやすくなります。すると、修理が必要な場合も、早い段階で行うことがでできますよね。これもメンテナンスという観点からはとても大切なことです。「何かおかしい」と思った時には、楽器屋さんに持って行きましょう。

日常的なアコギのお手入れは乾拭きでOK

先述の「保管場所」「こまめに弾くこと」以外に、“ギターメンテナンス”として日常的に行うのは、乾拭きだけで充分です。

ギターを演奏していると、汗や皮脂汚れがギターの弦やギター本体に付着します。これを放置しておくと、弦は数日で錆びてしまい、すぐに交換しなければならなくなります。また、ギター本体についた皮脂汚れは、長く放置しておくと、どんどん取れにくくなります。

ですが、演奏後に毎回アコギの弦を拭いておけば、弦自体を長持ちさせることができます。また、ボディを拭いておくことでギター自体をきれいに保つことが出来ます。日常的な汚れは、ほとんどこれで落ちてしまうのです。

ギターの弦は、次の写真のように1本1本をつまむように拭きます。

特にアコギではヘッドに近いフレットを使用することが多いため、この辺りは非常に錆びやすいです。ですので、低いフレットは重点的に拭くと良いでしょう。これを毎回やるように癖付けておくと、かなり弦の持ちが変わります。

基本的には、弦のお手入れは乾拭きだけで充分です。ただ、夏場や手汗が多い場合には、弦の錆びるスピードが速いと感じることがあります。そんな時には、「Finger ease(フィンガーイーズ)」や「FAST-FRET(ファストフレット)」のような錆止め剤を使用しても良いでしょう。

このスプレータイプの錆び止め剤を使用する時は、クロス等の布に少量付けてから、先ほどの写真のように弦を1本ずつ拭いていくように使用します。時々、スプレータイプのものを指板に直接振りかける方を見かけます。ですが、これはあくまで弦につけるためのものですので、クロスに付けてから塗り広げることをおすすめします。

次に、アコギ本体の日常的なお手入れについてですが、トップ・サイド・バックの他、ネックも乾いたクロスで拭いておきましょう。日常的なお手入れは、あまり難しく考えず、これくらいで充分です。

なお乾拭きには、ギター専用のクロスを使うのがおすすめです。なぜなら“ギタークロス”は、一般的なタオルなどでは取り切れない皮脂などの汚れを、しっかりとふき取ってくれる素材でできているからです。安いものでも構わないので、ぜひ用意しておきましょう。

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アコギのメンテナンス2・特別なお手入れについて

アコギのメンテナンスには、日常的なものに加えて、たまに行う特別なものもあります。そのほとんどは弦を交換するタイミングで行います。ここでは、その特別なお手入れ・メンテナンス方法について解説していきます。

アコギの弦は定期的に交換する

ギターの弦は消耗品ですから、定期的に交換する必要があります。

例え日々のメンテナンスで、ギタークロスでしっかりと弦を拭いていても、必ず古くなっていきます。そうなると、音が劣化したり、弦が切れやすくなったりします。このため、弦交換を定期的に行う必要があるのです。

“定期的に”と言っても「3か月に1度」のように、絶対的な数字が定められているわけではありません。これは、住んでいる場所の環境や季節、また扱い方によっても劣化のスピードが異なるためです。多くの場合、弦の変色や音の変化で交換の時期を見極めます。

弦交換のタイミングや交換頻度については「ギターの弦交換、張り替え時やタイミングは?交換時期と頻度について」で詳しく解説しています。

また、アコギの弦交換の方法については、「ギター弦の張り替え方!アコギ弦の交換方法・外し方から張り方を解説」でご紹介しています。写真付きで詳しく解説していますので、弦交換の際に参考にしてみてください。

ボディ全体をいつもより念入りに拭く

弦交換のタイミングで、ボディ全体もいつもより念入りにきれいにします。

特に、古い弦を一旦全て取り外した弦交換時は、普段拭きにくい箇所の掃除のチャンスです。具体的な場所を言うと、以下の写真の青で囲った部分の、サウンドホール周りやブリッジ近くです。その他、ヘッド部分も意外とほこりが溜りやすいので、このタイミングで掃除しておくと良いですね。

ここにたまったほこりやごみを取り除きましょう。さらに、前面・背面・側面など全体をギタークロスで拭き上げます。

ギターポリッシュでボディを拭く

弦交換時、皮脂などの落ちにくい汚れがある場合は、“ギターポリッシュ”を使用しても良いでしょう。種類は様々なものがありますが、以下のような商品です。

使い方は簡単です。まずギタークロスに、このポリッシュを次の写真くらいに少量含ませなじませます。

これでボディを拭き、その後きれいなクロスで乾拭きします。これによって、取れにくい汚れを落とすことができます。今回はギターの裏面が随分汚れていたので磨いてみましたが、こんなにきれいになりました。

ただ、ギターの塗装やポリッシュの成分によっては合わないものもあります。例えば、艶のある塗装のものには使用できるが、マットな質感のものには使用できない、というような感じです。ギターポリッシュを使用する場合は、注意書きをよく読み、お持ちのギターに使えるかどうかを確認しましょう。

ギターメーカーのHPなどで各メーカーが推奨するお手入れ方法を調べてみると安心です。また、ポリッシュが使用できない場合は、牛革や鹿革などで出来た少し高級なクロスを使用して、いつものケアをグレードアップさせるのも良いですね。

ギターポリッシュは、見た目をきれいにするためものですから、必要と感じなければ使用しなくても構いません。あくまでクリーニング目的で使用するものなので、汚れが気になる時のみの使用でOKです。

指板やフレットのクリーニングとお手入れ

弦交換で、全ての弦を取り外した際に忘れず行いたいのは、指板やフレットのお手入れです。指板というのは、ギターネックの表面のことです。フレットはその指板に打ち付けられた金属製の棒のことです。

弦を外すと、この部分が全てあらわになりますから、このタイミングで掃除をします。

いつもは掃除できない、フレットと指板の境目や指板全体を、ギタークロスで念入りに拭きましょう。細かなところは、爪楊枝や使い古しの乾いた歯ブラシなどで優しくごみを取り除くのも良いでしょう。

フレットの汚れを落とす

フレットは金属製なので、段々と汚れてくすんだ色になっていきます。

この汚れを放置しておくと錆びてしまいますし、傷がある場合は、そこに弦がひっかかったり音の伸びも弱くなったりと、演奏にも影響が出ます。なので、時々きれいにしてあげましょう。

フレットのお手入れには専用のやすりを使用することもありますが、今回おすすめするのは、次の写真のようなクリームタイプの研磨剤です。

これを使用する前に、研磨剤が指板に付かないように、マスキングテープでカバーしましょう。すると次の写真のような状態になります。

これをせずに磨いてしまうと指板が恐ろしく汚れます。なので、少し面倒ですが必ずやってくださいね。そしてクロスに研磨剤を少し付け、磨いていきます。

磨き終わったらマスキングテープを外します。下の写真では少し分かりにくいかもしれませんが、ピカピカになります。

この作業は、弦交換の度に毎回やる必要はありません。フレットの傷や汚れが気になる時だけでOKです。

オイルでの指板の保湿について

指板のお手入れ時、指板の乾燥が気になる場合には、ギター指板用オイルを使用しても良いです。ギター指板は、乾燥しすぎるとひび割れなどに繋がるため、それを防ぐ目的があります。

この指板用オイルにはレモンオイルやオレンジオイル、ミネラルオイルにアーモンドオイル、リンシードオイル…等色々あります。

中でも広く使われているのが「レモンオイル」や「オレンジオイル」です。これらを使うことで、レモンやオレンジなどの柑橘類に含まれる「リモネン」という成分によるクリーニング効果が期待できます。さらには保湿にも効果があるいうことで一般的に広く使われています。

ただ、このレモンオイル等の使用には賛否があります。アメリカの老舗ギターメーカー「Martin(マーチン)」は、レモンオイルを推奨していません。その理由は、レモンオイルの“酸”が、塗装や金属製のフレットを劣化させるというものです。※以下HP参照。https://www.martinguitar.com/customer-service-2/faqs.html#q03

この点が心配であれば、柑橘系以外のものを選ぶのも方法の1つでしょう。特にレモンオイル等はクリーニング効果もあるため、目的が指板の掃除であれば効果的です。ただ保湿だけを行いたい場合には、レモンオイルなどではなく、保湿を目的としたオイルを選ぶという方法も良いでしょう。

ただし、オイルによっては、お持ちのギターに合わない場合があります。使用前に必ず「自分のギターに使えるか」を確認してから使いましょう。エレキギターによくみられるメイプル塗装の指板のように、あらかじめ塗装が施されているものは、基本的にこのようなオイルは使用できません。

その他、ギターの指板やフレット保護のために、弦と指板の間に挟み込む「フレットガード」という商品があります。次の写真のような商品です。

これに調湿機能が付いたものもあり、指板の乾燥を防ぐためにこちらも有効です。必要に応じて使用しても良いでしょう。

オイルの使用方法

では、オイルの使用方法を解説していきます。今回は指板の汚れが気になったので、レモンオイルを使用します。まずはクロスにオイルを2、3滴取ります。「少ないかな」と思うくらいでちょうど良いです。

オイルを布になじませたら、指板全体を拭きます。その後10分から15分ほど、オイルがしみ込んで行くのを待ちます。そして仕上げに乾いたクロスで拭きとります。

ここまで済んだら弦を張っていきましょう。弦の張り方については、「ギター弦の張り替え方!アコギ弦の交換方法・外し方から張り方を解説」で詳しくご紹介しています。

オイルは使い過ぎに注意

指板の乾燥を防ぐために、先述のオイルは効果的です。その一方で、これらのオイルは塗りすぎにも注意が必要です。

ギターの乾燥には注意しなければなりません。ですが、付け過ぎると木材が膨張し、これも変形の原因となります。これによって、フレットが浮いてきてしまうというトラブルに繋がります。ですから、ベタベタしないくらいに塗ることを心掛けましょう。

このようなクリーニング・保湿オイルは、時と場合によって、必要なタイミングは異なります。ですので、弦交換の際に毎度しなければならないことではありません。使用頻度は、乾燥や汚れの度合いで変わりますが、年に1~2回くらいでしょう。

一概には言えませんが、例えば、湿度の高い夏場は保湿目的では使用しないことが多いです。一方、乾燥が気になる冬にはやっておきたい、という感じです。

このことは、スキンケアをイメージしていただくと分かりやすいかもしれませんね。言ってみれば、ギターの”パック”や”エステ”のようなスペシャルケアといった感じです。例えば、湿度が高い夏に、冬と同じように保湿クリームを塗ることはないでしょうし、毎日エステに通うなんてこともまずないですよね。

ですので、これらのオイルは、汚れが気になったり乾燥が気になったりする時に“特別に”使用するものと思っておくと良いでしょう。

つまり、肌を保湿しすぎるとニキビや吹き出物ができるように、ギターの調子が悪くなってしまうので、適度に使用するのが良いという事です。”過ぎたるは及ばざるがごとし”を胸に、上手に付き合っていきましょう。

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アコースティックギターのお手入れの仕方、メンテナンス方法:まとめ

今回は、アコギのお手入れ・メンテナンスの方法について解説してきました。

・日常的なメンテナンスは、保管場所の温度・湿度、直射日光に注意することの他、こまめに弾くことが大切。演奏後はすぐにギタークロスで、弦やアコギ全体を拭いておく。

・特別なお手入れの基本は、定期的な弦交換。その弦交換の時に、他のスペシャルケアを行うと良い。

・特別なケアとして、指板やフレット、ヘッド部分など、普段掃除できないところの掃除を行う。この時、ボディ部分は専用のギターポリッシュ、フレットには専用の研磨剤、指板にはオイルを使用することがある。

・このようなギターのクリーニング材や保湿は、弦交換時、毎回行う必要はない。使い過ぎも良くないことを覚えておこう。

ギターメンテナンスというと大層な事のように聞こえますが、大切なのは道具をよく使い、大切にするという事です。ギターの調子を普段から気にしておくことで、より愛着も湧きますし、それが良いギターに育てることにも繋がっていきます。

尚、現在ギター初心者さんに向けて、無料レッスン動画を配信中です。以下のリンクよりお受け取りいただき、ぜひ日々の練習お役立てください。

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この記事が参考になれば嬉しいです。

B型さん

   
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