ギター専用の楽譜「TAB譜」には、よくバツ印「×」が登場します。
この「×」の意味は1つではなく、様々なテクニックを表す時に使われます。
今回は、この「×(バツ印)」の意味や弾き方を、ギター初心者さんにもわかりやすく解説していきます。
TAB譜の「×(バツ印)」の意味とは?
この「×」は、簡単に言うと「音程感がない音」を表しています。音程感のない音とは「ドレミ」などの音階で表せないような音です。
例えば、弦を左手でしっかりと押さえずに軽く触れた状態で弾くと、その音は「ブツッ」と切れたような音が鳴ります。
このように弦を響かないようにするテクニックを“ミュート”と言います。この“ミュート”というテクニックを使って、「×」が表す音程感のない音を出します。
では、実際にTAB譜での登場の仕方と、それらの意味について解説していきます。
「×」が1本の弦の上に書かれている場合
まずは最もシンプルな、次の例のように「×」印が単体で登場する例から見ていきます。

このような表記の場合は、その弦をミュートして単音を鳴らすことを示しています。
上のTAB譜の「×」は3弦の上に書かれてありますので、3弦を先ほど解説した“ミュート”の状態にして弾きます。
これを実際に弾くと、次のようになります。
左手の人差し指が、少し動いているのがわかるでしょうか。この動きは弦を押さえたり、指板から浮かせたりしているからです。
音を鳴らしたい所では弦を押さえ、ミュートしたい所では左手を少し浮かせて、実音とミュートの音を弾き分けています。
「×」が縦一列・複数の弦の上に書かれている場合①

上のTAB譜のように、縦一列にたくさんの「×」が書かれているものは、コードを全体的にミュートして鳴らすことを示しています。
まずは上のTAB譜の数字が書いてあるところを押さえてみましょう。すると次のように押さえるコードであることが分かります。

このコードが×印に挟まれるような形で、繰り返し書かれていますね。この数字が書かれている箇所は、コードを押さえた状態で鳴らします。
一方、「×」が書いてあるところでは、コードを押さえる時の左手の形はそのままで、弦を指板から浮かせます。
指を浮かせた状態と、弦を押さえた状態を次の写真で比較してみましょう。

上の写真左のように指を指板から浮かせた状態して音を鳴らします。
つまり、全ての指が弦に触れているだけの状態にするのです。そうすると、次のようなザクザクとした音が鳴ります。
このように弦を全体的にミュートした状態で「ザクザク」と鳴らすテクニックを“ブラッシング”と言います。
ブラッシングについては「ギターのブラッシングとは?アコギでのやり方、コツと注意点」で、詳しく解説しています。
このように、複数弦に渡ってたくさんの「×」が書かれる表記の他に、大きなバツ印でまとめて表記されることもあります。
「×」が縦一列・複数の弦の上に書かれている場合②
先ほどと似ているものに、次のようなものもあります。

数字が書いてあるところを見ると、次のように押さえる「G」コードであることが分かります。

これも先ほどとほぼ同じように、コードの間でブラッシングを入れて弾けば良いのですが、よく見ると数字の「0」が混ざっています。これは、どこも押さえずに鳴らすことを示しています。このように、どこも押さえずに音を鳴らすことを「開放弦を鳴らす」と言います。
この“開放弦”を含むコードの場合は、先ほどの項でご紹介したものとは違うやり方で「×」部分を演奏することがあります。
それが、右手でミュートする方法です。
まずは次の写真の赤で囲った部分のように、右手の手刀部分をギターのブリッジあたりにチョップするように置きます。

そして、この状態で弦を弾きます。
この右手でミュートするブラッシングのやり方については、「ギターのブラッシングとは?アコギでのやり方、コツと注意点」で詳しく解説しています。
大きめの「×」が複数弦に渡って書かれている場合
次の例のように、大きめの×印が複数弦に渡って書かれてある場合もあります。

この場合も、基本的には同じ考え方で、ミュートした音を鳴らします。
この楽譜の場合だと、×の前後で4弦と5弦を押さえていますので、そのあたりをミュートして鳴らします。楽譜上では4弦と5弦上に×が書いてありますが、厳密に4弦と5弦を弾かないといけないわけではありません。極端な話、ミュートの音が鳴れば何でもOKなのです。
端的に言えば、ミュートした音が鳴れば良いので、どの弦の音でも構いません。フレーズに合わせて弾きやすい所を弾けばOKです。
コードの一部に「×印」がある場合
コードを表す縦一列の数字の中に、次のように×が混ざっていることがあります。
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この場合は、×が付いた弦だけをミュートすることを示しています。
端の弦ではないため、どのようにミュートすれば良いか分かりにくいですが、可能な指でミュートします。この場合のミュートの方法として、次のようなものが考えられます。

人差しの指の頭を使って、赤丸部分でミュートしています。このようにミュートの方法は、1つに限りません。可能な方法を探ってみましょう。
「×」と尻尾のような線がセットで登場する場合①
次のように「×」に尻尾のような線が付いていることもあります。

こでは「グリッサンド」というテクニックを表します。これは、弦を押さえたまま指を滑らせて「ドゥーン」というような音を鳴らすテクニックです。
「何フレットを押さえて、ここからここまで滑らせる」という事がはっきりしないテクニックなので、TAB譜上でも数字で表しにくいのです。その結果、このように「×」の表記になっているわけです。
つまり、これの意味するところは「それっぽっく、良い感じに弾いちゃってね」という、かなり感覚的なものです。さじ加減を演奏者に任せているので、こういったものは、元の曲をよく聞いて、それっぽい音を出せるように研究することが大切です。
表記の方法は、楽譜によって尻尾部分が長かったり曲線だったり、グリッサンドを表す「g」が併記してあったりと色々なものがあります。
グリッサンドについては「ギターでのグリス(グリッサンド) やり方と2つのコツ」で詳しく解説しています。
「×」と尻尾のような線がセットで登場する場合②
次のように、長い尻尾のような線とセットで登場する×もあります。

この譜面をよく見ると、上に「P.S.」と書いてあります。楽譜によっては「pick scratch」と表記される場合もありますが、これは次のような「ピックスクラッチ」と呼ばれるテクニックを示しています。
ピックを弦に当ててそのまま滑らせることで、「ギュイーン」という音を出すテクニックで、主にエレキギターで使われます。
音程の変化は多少分かりますが、ドレミで歌うのは難しい音ですよね。そういうわけで、これも「×」で示されます。
TAB譜の「×(バツ印)」、結局これだけ押さえておけばOK!
ここまで解説してきたように、TAB譜では「×」が色々なテクニックを表すのに使われます。
もしかすると、この記事でご紹介していない表記に、今後出会うことがあるかもしれません。
ですが、「×」は以下の2つのことを示す、と理解しておけば乗り切れます。
・ミュートした音。
・楽譜には表しにくいあいまいな音。
「×」が登場したら、まずは「ミュートした音を出す」という事を考えてみましょう。テクニックが分からなくても「何とかしてミュートの音を出してみよう」と研究してみると、結果的に楽譜の内容を再現できている事も多いです。
その他、「グリッサンド」のところでご紹介したように、ただミュートするだけではなさそうな「×」印の場合もあります。そんな時は「×」が示しているのは「歌いにくい、不明瞭な音」です。
つまり、楽譜に表しにくい音ですから、あまり深く考えずに元の曲をよく聞いて、それっぽい音を出せるように研究してみましょう。
まとめ
今回は、ギターのTAB譜に登場する「×(バツ印)」の意味や弾き方を解説してきました。
たくさん書きましたが、まずは次の2点を押さえておけばOKです。
・ほとんどの場合「×」はミュートした音を鳴らす、という意味。
・楽譜で表しにくいために「×」で島されている場合もある。これは耳でよく聞いて再現しよう。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました!