歌に「しゃくり」を入れる方法、やり方 入れ方、出し方のコツ

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こんにちは!シンガーソングライターのB型さんです。

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「歌の“しゃくり”って何?どうやって出すの?」とお悩みの方は多いですよね。

ちょっとしたコツで、上手に「しゃくり」を入れられるようになります。これによって、歌がうまく聞こえ、個性を表現することもできるようになります。

今回は、「しゃくり」の出し方やコツを解説していきます。

↓この記事の内容を動画でも解説しています。画面中央の再生ボタンを押してご覧ください。

しゃくりとは

「しゃくり」とは、出すべき音より低いところから歌い出し、本来の高さまで上げるボーカルテクニックのことです。

ですが、これだけではイメージしにくいですよね。なので、実際の歌で確認してみましょう。ここでは、童謡の「うみ」を例に解説します。

この曲のしゃくり「あり」と「なし」の2つのパターンを聴き比べてみましょう。まず、下の音声プレーヤー左端の再生ボタンを押して、しゃくりなしの場合を聴いてみましょう。

うみ  しゃくりなし

こちらのパターンは、まるで子どもが歌っているような純粋無垢な印象ですね。これに対して、「しゃくり」ありの場合は、次のようになります。

うみ しゃくりあり

先ほどの「なし」のものと比べて、オリジナリティのある、こなれた感じがしますよね。

これら2つの出だし、「うみは」の「う」の音を比べてみましょう。「なし」のものでは、「うー」と同じ音程を伸ばしていました。

これに対して、「あり」の方では、「う⤴」という感じに聞こえますよね。言い換えると、「う」の1文字分に、2つの高さの音が感じられるということです。これらの音のうち、2つ目の高さのものが”本来の音”です。

このように、1つ目の少し低い音から、そこに上げていくテクニックが「しゃくり」ということなのです。

しゃくりの出し方・やり方のコツ

ここからは、「しゃくり」の出し方、やり方のコツを解説します。

入れるタイミング

「しゃくり」に慣れてくると、感覚的に入れられるようになります。ですが、最初はそれが難しく感じることもありますよね。

そんな時には、フレーズの始まりか終わりに入れられないか考えてみましょう。

これを先ほど例に挙げた、「うみ」の歌詞で確認してみましょう。この中で「しゃくり」を入れやすいところを、次のように赤で示しました。

もちろん、これ以外にも入れられるところがあります。例えば、「ひろいな」の「ろ」や「しずむ」の「ず」などです。

ですが、どこに入れるべきかわからない場合がありますよね。そんな時は、このようにフレーズの始まりか終わりで入れられないか、考えてみると良いでしょう。

滑らかに繋げることを意識する

うまく「しゃくり」を入れるには、音を滑らかに繋ぐことを意識しましょう。そうすることで、柔らかい印象を作り出すことができるからです。

先述の通り、「しゃくり」は、1文字に対して2つの高さの音があります。これら2つの高さの音を、滑らかに繋げることを意識するのです。

先ほどの「うみ」の出だしの場合も、2つの高さの音が「う⤴」と滑らかに繋がっていましたよね。逆に、2つの音が「う・う」とぶつ切りにしてみるとどうでしょうか。これではカクカクした感じで、柔らかさが生まれません。

ですから、滑らかに音を繋げることが大切なのです。

この時、下の写真のように、「あご」をしゃくれさせるイメージで歌うと、“滑らかに繋ぐ”ということを理解しやすいです。

この動きに合わせて音が変化するイメージを持つと、滑らかに繋ぐことができます。

英語のような発音を意識する

英語のような発音を意識することで、こなれた雰囲気の「しゃくり」を入れることもできます。

例えば、先ほどの「うみ」の“月が”という部分の出だし、「つ」がそれにあたります。

この部分は、普通に「つ(tsu)」と発音するのではなく、「ts・u」と発音しています。つまり、はじめから「tsu」のすべてではなく、「ts」と「u」に分けて発音しているということです。

これらを聴き比べてみましょう。まず、「つ(tsu)」と発音した場合から。

「つ」と発音した場合

こちらは素朴な印象ですね。

これに対して、英語風に「ts・u」と発音した場合を聴いてみましょう。

「ts・u」と発音した場合

こちらの方が、 こなれた雰囲気がありますよね。 はじめの「ts」の部分で、小さく息を吐き出します。その後、音をしゃくり上げるとともに「u」と発音します。

このように、英語に近い発音を意識すると、一味違った雰囲気を出すことができます。

ただ、この方法は、場所や言葉によってできる場合とできない場合があります。

「か行」や「た行」のような音は、比較的やりやすいです。しかし、この歌の出だし「う」の音ではできません。これは、実際にやってみるとよくわかります。

また、好きな歌手の歌い方で、このようなところがあれば真似てみると良いでしょう。そうすれば、こなれた雰囲気の「しゃくり」を学ぶことができます。

もちろん、これは「好み」の問題ですから、気に入った発音で歌えば良いです。ただ、変化を付けたいときの方法として、このことを知っておくと便利ですよ。

「しゃくり」を入れる時の2つの注意点

「しゃくり」を入れられるようになると、歌がうまく聞こえたり、個性を表現したりすることができます。ですが、注意すべき点が2つあります。これらを順に解説していきます。

入れすぎに注意

まず1つ目は、「しゃくり」の入れすぎに注意することです。このテクニックをうまく使えば、こなれた雰囲気を出せます。

その一方で、入れすぎてしまうと良くないこともあります。それは、音痴に聞こえたり、鬱陶しい感じになったりするということです。

なぜなら、これを多用することで、音の上がり下がりが多くなり、不安定に聞こえるからです。次の音声で、「しゃくり」を多用した「うみ」を聞いてみましょう。

しゃくりを多用した「うみ」

いかがでしょうか。うまく「しゃくり」を入れることで、本来なら、“柔らかさ”や“個性”を表現できます。ですがこの場合は、それよりも“気持ち悪さ”や“鬱陶しさ”が際立っていますよね。

ですから、「しゃくり」を入れるときは、こんなふうに多用しないように注意しましょう。入れるところと入れないところを明確にし、メリハリをつけることが大切です。

意図しない「しゃくり」に注意

2つ目の注意点は、「意図しないしゃくり」です。

意図せずに「しゃくり」が出てしまうのは、「出すべき本来の音が理解できていない」という可能性が高いです。そのため、なんとなく低めのところから入って、そこから音程を上げていく過程で正しい音を探していくという歌い方をしてしまっているのです。

この歌い方では、全体的に不安定な感じになってしまいます。

また、これが癖付いていると、注意点の1つ目に挙げた「多用」にも繋がります。その結果、音痴に聞こえてしまいます。

このように、意図せずに出してしまう場合は、「しゃくり」なしで歌う練習を繰り返しましょう。これによって、「出すべき本来の音」を理解します。それが理解出来たら、「しゃくり」を入れる場所を決め、歌ってみましょう。

このような練習をすることで、安定感のある歌にすることができます。また、「しゃくり」の多用を防ぐことができ、本来の“柔らかさ”や“個性”を表現できるようになります。

まとめ

ここまで、「しゃくり」の出し方やコツについて解説してきました。

・「しゃくり」とは、出すべき音より低いところから歌い出し、本来の音の高さまで上げるテクニックのこと。

・フレーズの始まりと終わりが入れやすい。

・滑らかに繋げることを意識すると、柔らかい印象になる。

・英語の発音を意識すると、こなれた雰囲気が出せる。

・「しゃくり」を多用すると、ヘタに聞こえたり、鬱陶しい感じになったりするので注意。

・意図しないで出てしまう場合は、「しゃくり」なしで歌う練習を重ねる。

「しゃくり」をマスターすると、歌がうまく聞こえます。そして、個性を表現することができるようになります。

それでは、最後までお読みくださり、ありがとうございました!

B型さん

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