アコギを弾き終わったら、毎回弦を緩めた方が良いのか、緩めなくて良いのか悩んでいる人は多いですよね。
アコギ弾きさんの間でよく問題になることです。難しい問題ですし、様々な場合によってその答えは異なります。ですが、それぞれの意見を知ることでそのヒントが見えてきます。
それらを知った上で、自分はどうするのか?を考えてみましょう。
今回は、アコギを弾き終わったら弦を緩めるべきかどうかについて、私の経験も含めて解説していきます。
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もくじ
「弾き終わった後は、毎日弦を緩めるべきか?」絶対的な答えはない
アコギを弾き終わった後、「毎日弦を緩めるべきかどうか」ということは、多くの人が疑問に思っているでしょう。
結論から言うと、この問題に絶対的な答えはありません。なぜなら、ギターとの付き合い方や、ギター本体の性質にもよることだからです。
さらには気温や湿度など、それを扱う環境によっても最適な答えは異なります。つまり、緩めた方が良い場合もあるし、緩めなくても良いこともあるという事です。
ですので、この問題の答えは、様々な意見をもとにして、あなた自身が「自分の場合はどうか」を考える必要があります。今回は、その判断をするための材料となるお話をしていきます。
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アコギ弦”緩める派・緩めない派”それぞれの主張
アコギを弾き終わった後に、弦を緩めるか否か。これにはそれぞれの意見があります。ここでは各意見の主張理由をご紹介します。
緩める派
まずは「緩める派」の意見です。
端的に言うと、「緩めないとギターが変形してしまう」という考え方です。具体的な例の1つ目は、下の写真で示した「ネック」部分が反ってしまうという事が挙げられます。
チューニングされて、弦がピーンと張った状態では、上図の赤い矢印の方向に非常に大きな力がかかっています。この状態は、図のヘッドやネック部分が強い力で矢印方向に引っ張られているのと同じです。すると、矢印方向にネックが曲がってしまうという事なのです。
この方向に反ることを「順反り(じゅんぞり)」と言います。
こうなると、弦と指板の間が広く開いてしまいます。「指板」というのは、ギターを弾く時に指で押さえる表面の板のことです。このようになる現象を「弦高(げんこう)が高くなる」と言います。
こうなってしまったギターは、弾きづらくなったり、チューニングが狂いやすくなったりします。このような状態にしないために、弦を緩めてネックを引っ張る力を弱めておこうということなんですね。
その他、この引っ張る力が原因となり、下の写真で示したボディのトップの板が盛り上がってきたり、
下の「ブリッジ」というパーツがはがれてきたりすることを懸念して、弦を緩めているという事なんです。
また、この時の緩め具合にも色々な意見があります。「ペグを半回転程度緩める」という意見から、「2回しくらい緩める」などです。
このように、緩め加減は人によって様々です。しかし、必ずどの弦も同じくらい緩めることは共通の認識です。その理由は、バラバラの緩め加減にすると、今度は「ネックのねじれ」の問題が起こってくるからです。
このねじれの問題は、ネックの“順反り”を治すよりも処置が大掛かりになるため、避けたいトラブルです。
緩めない派
次に「緩めない派」の意見です。
こちらは、締めたり緩めたりを繰り返すと、ギターのネックやヘッドに余計にストレスがかかるという考え方です。
例えば、長い棒などを折ろうとする時、押したり引いたりを繰り返すことがありますよね。これによってその棒が弱くなり、折れやすくなるからあの動作をするわけです。これがギターにも言える、ということなんですね。
チューニングをすると、下図の赤い矢印方向にヘッドやネックが引っ張られます。
反対に、緩めると青い矢印の方向にヘッドやネックが動くことになります。
これらの動きを繰り返すことは、先ほどの棒の例の、“押したり引いたり”と同じことです。つまり、チューニングをしたり、緩めたりする回数が多くなると、ヘッドやネックに余計な負担がかかってしまうという考え方なのです。
また、ギターは古くからある楽器なので、弦に引っ張られる状態を想定して作られているという意見もあります。これはつまり、緩めない方がギターのバランスとして自然な状態になるように作られているという考え方です。
それに、緩めないで置いておくと、次の練習時にチューニングの時間が短く済むので楽ですよね。その点、練習のしやすさから言うと緩めない方が便利です。それに、実際にこれで問題が起こったことがない方は「緩めない」という選択をされていることが多いです。
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メーカーや楽器店、ミュージシャンは緩めている?
楽器のことはメーカーや楽器店に聞いてみよう!という事で、楽器店で聞いたり、メーカーのホームページで確認したりしてみました。
楽器店では
楽器店の店員さんに聞くと、「緩めて置くと無難です。」という答えが返ってくることが多いです。理由は先ほどの「緩める派」の意見と同じです。
実際に「緩めない人も多いけど、何か問題が起こるまで張っておくのか、というとそれもちょっとね…」とおっしゃっていました。
また、楽器店のホームページなどで、「練習後には弦を緩めておいてください」としているところも多く見られます。
メーカーは
アコギメーカーで、「弦が緩めないで!」と公言しているところが1社だけあります。それは「テイラー」というメーカーです。
私はテイラーのギターを1本所持していますが、その説明書にもばっちり明記されていました。それによると、弾き終わるたびに緩めてしまうと不安定なネックの状態が続き、トラブルの原因となるとの考えからだそうです。
また、日本のアコギメーカー「Kヤイリ」や「タカミネ」のホームページでもこれについて言及されていました。「Kヤイリ」のホームページでは、”頻繁に弾くなら毎度緩める必要はない”と書かれてあります。
「タカミネ」のところには、”環境によっても変わるが、まずは2週間くらい緩めずに使ってみて、何もなければそのまま緩めずに。弦高が高くなるなどの問題が起これば半音から1音程度下げてみる”とありました。
ミュージシャンの意見
「THE ALFEE(ジ・アルフィー)」というバンドでアコギを担当されている坂崎幸之助さんが、ラジオでこの件に触れられていました。
彼は「ある程度の質のもので、毎日弾くなら緩めなくても良いのではないか」というご意見でした。ご自身の経験からも、毎日弾いていたものは張りっぱなしでも問題は起こらなかったという事でした。
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緩める・緩めない、どちらが良い?
ここまでの話で「じゃあどちらが良いのか?」と思いますよね。
これまでの経験から、私は基本的には「緩めないで良い派」です。
先述の通り、ギターやそれを扱う環境にもよるので、あくまで“私の場合は”という話になってしまいますが、ポイントは「毎日、あるいは頻繁に弾くか」「しばらく弾かないのか」にあると考えています。つまり、毎日弾くなら緩めなくて良いし、しばらく弾かないなら緩めた方が良いということです。
私自身、これまでそのように扱ってきたものに関しては、トラブルが起きたことはありません。安い1万円のギターも同じように扱ってきました。また、その間、基本的に毎日弾いていました。
逆に、しばらく弾かずにそのまま置いておいたらネックが反っていたとか、変形したという話はよくある話です。
それに楽器屋さんも緩めて販売しています。お店に並んでいるものは、毎日弾かれる状況にはないですから、しばらく弾かないものは緩めておいた方が良いと考えられます。これらのことから、毎日弾くものは緩めないし、しばらく弾かないものは緩めるという考えに至ったのです。
また、一般的に「道具は使わないと傷む」なんていうことがあります。ギターもこれと同じで、「長い間弾かずに保管していたものが、傷んで出てきた!」という話はよく聞きます。つまり、しばらく弾かないで置いておくことは傷む原因になりうるということです。
弦を緩めるか緩めないかという問題以上に「頻繁に弾くかどうか」が、この問題に大きく関係していると考えられます。これらのことから、現時点では「毎日弾くなら緩めない」「しばらく弾かない場合は緩める」を私の結論としています。
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緩めるべき、または緩めた方が良い場合
先述の通り、私は基本的には「そこまでシビアに緩めなくていいのではないか」という考えです。ですが、緩めた方が良い場合もあります。事実、私が所有しているギターの中には、緩めているものがあります。
恥ずかしながら、中には張ったまま保管していて、しばらく弾かなかったために状態が変化してしまったものもあります。この経験から、どのような場合に緩めた方が良いのかを解説します。
ギターの調子から必要性を感じる場合
まず1つ目は、ギターの調子を見て「緩めた方が良さそう」と感じる場合です。先述の通り、ギターを扱う環境や個体によって緩めるべきかどうかの答えは変わってきます。
これは各ギターの調子を見ながら決める必要があります。それはどのようなギターかと言うと、緩めなかった場合に問題がおきやすいものです。こういったものは緩めておく方が良いです。
例えば、私のギターのうち、張ったままにしておくと弦高が高くなりやすいと感じるものは各弦半音ずつ下げて保管しています。
その他、弦を張りっぱなしにしておくと、ボディの表面の板が若干盛り上がり気味になってしまうものもあります。このようなギターは1音程度下げて保管しています。このようすることで、ボディ表面のトップ板の盛り上がりを防ぐことができています。
これらの例のように、張りっぱなしにしておくことでギターの調子が変わってしまうものに関しては、緩めておくと良いでしょう。
ただ、どのようなギターもこうなってしまうかといえば、そうではありません。もちろん張りっぱなしにしていても何も問題が起こらないものもあります。ですので、自分の目でギターの調子を見るようにしましょう。
太い弦を張っている場合
2つ目は、太い弦を張っている場合です。
アコギに張る弦で、最も標準的な太さの弦は「ライトゲージ」ですが、これより太いミディアムゲージなどを張る場合は緩めた方が安心です。なぜなら、太いゲージの弦は張る力が強いため、ネックやボディがその力に負けて変形してしまう可能性が高いからです。
緩める場合は、どの弦も1音下げにするなど、下げ幅を揃えて置きましょう。これによってネックのねじれを防ぎます。
弦の種類については、「種類は?どれが弾きやすい?ギター初心者さんのアコギ弦の選び方」で解説しています。
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こうして自分の答えを導き出す
では、あなたのギターはどのように考えれば良いでしょうか。初めに「この答えはギターや環境にもよる」とお話しました。ですから、正解は自分で導き出すしかありません。
その方法として、しばらく緩めないで使ってみて、ギターの様子を見るということが挙げられます。そこで、「前より弾きづらくなった」と感じるのであれば、緩めて保管するようにすると良いですね。
その方法が心配な場合は、各弦を半音、もしくは1音程度緩めておくと良いでしょう。
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アコースティックギター弾き終わった後、毎日アコギ弦は緩めるべきか:まとめ
ここまで、ギターを弾き終わったら弦は緩めるのか、緩めないのかということをお話してきました。
・「緩める派」の意見は、「チューニングされたままの弦によって、引っ張られた状態で置いておくと、ネックが反ってしまう。」というもの。
・「緩めない派」の意見は、「弦を張ったり緩めたりを繰り返す方が、ギターに負担がかかる。」「弦を張ったままが自然な状態を保てるように作られている。」というもの。
・ギターにもよるが、私の結論は「毎日弾くなら緩めない」「しばらく弾かないなら緩める」。それより大切なことは頻繁に弾くこと!
・まずは緩めずに使ってみて、弾きづらくなったなどの変化があれば緩める。
・緩める時は、各弦を同じ下げ幅で下げる。
このことを知っておくと、ご自身のギターはどのように保管すべきかが見えてくるでしょう。それを踏まえて、どのように保管するかを考えてみましょう。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました。
B型さん