こんにちは!シンガーソングライターのB型さんです。

「ファルセットって何?」「どうやって出すの?」と思うことがありますよね。
このテクニックは、どういうものかが理解できれば、比較的すぐできるようになります。さらに、これができれば表現の幅も広がります。
今回は、この「ファルセット」について解説していきます。
もくじ
ファルセットとは?
「ファルセット」とは、歌う時の“息混じり、息漏れの多い弱々しい声”のことです。特に、地声では出せないような高い音を出す時に使われます。つまり、「裏声」ですね。
ただ、厳密に言えば「ファルセット=裏声」ではありません。このことについては後述することとします。まず、「ファルセット」とはこういうもの!ということを知りましょう。
例として、宇多田ヒカルさんの「First Love」を挙げてみたいと思います。次の動画の0:54~1:00あたりを聞いてみてください。歌詞で言うと、「誰を思っているんだろう」の「だろう」の部分です。
この部分では、音が高くなるとともに、声が弱く、繊細な感じになりましたよね。これが「ファルセット」です。これによって、歌詞の切ない感じが伝わってきますよね。
このようにファルセットで歌うことで、優しい、柔らかな雰囲気を作り出すことができます。
先述の通り、厳密に言えば「ファルセット=裏声」ではありません。確かに、ファルセット自体は裏声です。ただ、細かく言えば「裏声の一種」というのが正解です。
この「裏声」には、大きく分けて「ファルセット」「ヘッドボイス」「ミックスボイス」の3種類があります。そのうちの1つということなのです。
このうちの「ヘッドボイス」や「ミックスボイス」は、3種の裏声の中でも比較的芯のある、しっかりとした声です。これに対して「ファルセット」は、優しい雰囲気であるのが特徴です。
今回は裏声の1つである、この「ファルセット」について解説していきます。
ファルセットの出し方の練習方法やコツ
喉を全開させ、脱力させる
ファルセットを出す時に大切なのが「喉を全開にし、脱力させる」ことです。これによって、喉に負担の少ない、きれいなファルセットを出すことができます。
ファルセットを出すのは、主に高い音です。そのような音を出す時、多くの人は喉に力を入れてしまいがちです。これでは喉が閉じてしまい、きれいなファルセットを出すことができません。
それだけでなく、この状態で歌うことで、喉自体を傷めてしまいます。ですから、歌う時の喉は全開にし、脱力させる癖をつける必要があります。
ですが、「喉を全開にして脱力させる感覚って、どういうもの?」と思いますよね。日常生活の中で、その状態になるのが、「あくび」をした時です。この時の喉は全開し、脱力した状態になります。
「あくび」のし始めのころは、口のあたりに力が入っていると思います。それが落ち着いた後、口を開けたまま息を「はぁっ」と吐き出すと喉を全開にする感じが理解できます。
この感覚を覚え、歌っている時もその状態になるように、確認しながら練習しましょう。こうして、喉を脱力させることを体に覚えさせます。これは、歌の基本でもあり、ファルセットを出す第一歩でもあります。
体全体をリラックスさせて歌う
先ほど、喉を脱力させることの必要性について解説しました。それに加えて、体全体をリラックスさせることも大切なポイントです。
なぜなら、体全体をリラックスさせることで全身の筋肉が柔らかくなり、声があやつりやすくなるからです。その結果、歌自体うまくなりますし、もちろん「ファルセット」も出しやすくなります。
このような、歌う時の体のリラックス加減を知るために、「基本姿勢」を学ぶことが有効です。それは、次の写真のような姿勢です。

軽く両足を開き、まっすぐ立つという感じです。この姿勢だと、力がかたよることがないので、体全体をリラックスさせることができるのです。
この姿勢の作り方については、「歌う時の基本姿勢をイラストや写真で解説」で詳しく触れています。
私自身、「歌がうまくなりたい!」と思った時、ここから始めました。そうすることで、体全体をリラックスさせた状態で歌うことができるようになりました。その結果、それまでよりも自由に声をあやつることができるようになったと感じました。
このように、体をリラックスさせることで歌いやすくなります。その結果、「ファルセット」も出しやすくなるのです。
鼻歌でファルセットの感覚を知る
ファルセットの感覚がわからない時は、「鼻歌」で練習するのも良いでしょう。なぜなら、鼻歌は「息が漏れる声」という点でファルセットに似ているからです。
鼻歌は何気ないときに「フンフンフン~」と歌いますよね。なので、これを歌っている時の喉は脱力した状態になっているんですね。ですから、鼻歌で高い音を出してみることで、喉を脱力させた感覚をつかむことができます。
この感覚を知ることで、ファルセットが出しやすくなるでしょう。
地声とファルセットを交互に出す練習をする
地声とファルセットを交互に出す練習をするのも、きれいなファルセットを出すために有効な練習法です。これによって、地声からファルセットにスムーズに変えることができるようになります。
この練習は次の音声のように行います。下の音声プレーヤー左端の再生ボタンを押して聴いてみましょう。
例えるなら、救急車などのサイレンを地声とファルセットで再現してみる感じです。
また、実際の歌で地声とファルセットを交互に出しているところがあれば、そこを繰り返し歌ってみるのも良いですね。
歌手のファルセットの真似をする
ファルセットを習得する練習方法で、最もおすすめなのが、「好きな歌手のファルセットを真似する」ことです。なぜなら、この方法が、最も楽しみながら練習できるからです。
楽しく練習できると、何度も挑戦したくなりますよね。その結果、最短で習得できる方法となるのです。
私自身、ファルセットが上手な歌手の曲をたくさん歌うことで、このテクニックを習得しました。その経験から、ファルセットが素敵だと思う歌手を3人ご紹介したいと思います。
矢井田瞳
1人目は「矢井田瞳」さんです。私は、彼女の歌い方を真似て、たくさんの曲をコピーしました。その中でファルセットを習得した、と言っても過言ではありません。
彼女の歌い方は、ファルセットを自在にあやつるような特徴的なものです。ですから、ファルセットを鍛えるのに持ってこいのアーティストだと思います!
次の動画の曲でも、いたるところで「ファルセット」が使われています。
A、B、Cメロやサビなど、ファルセットがちりばめられていますね。また、3:45からの「あーーうーー」のところは、顕著で真似しやすいでしょう。これは、先ほど紹介した”地声とファルセットを交互に出す練習”の実践版、という感じですね。
一青窈
2人目は「一青窈」さんです。彼女もまた、ファルセットと地声の切り替えがきれいな歌手の1人でしょう。
私は、一青窈さんの歌も中学時代、家で大熱唱していました。当時人気だったのが「もらい泣き」という歌です。
この歌は歌い出しの「ええいああ」の「ああ」でファルセットに切り替わっています。また、「もらい泣き」の「ら」もそうですね。この部分を上手に出せるように何度も練習しました。
この練習でも私の「ファルセット力」は鍛えられました。
仲宗根泉
3人目は、バンド「HY」のキーボード兼女性ボーカルの「仲宗根泉」さんです。
彼女の歌い方では、地声とファルセットがきれいに使い分けられています。そして、優しく、時に力強く感じます。この方の曲の中で、私のファルセットの練習になったのが、次の「あなた」という曲です。
イントロから、きれいなファルセットを聴くことができます。その後、Bメロやサビでも度々出てきます。
私はこの曲を、音楽の授業であった、独唱のテストで歌うために練習しました。
当時の私は、「ファルセット」で歌うと音量が小さくり、弱々しくなることが悩みでした。ですが、サビの1:52からのファルセットを出すためには、どうしても裏声を鍛える必要がありました。そこで何度もこの部分を練習したのです。
その独唱のテストが終わった頃には、練習を始めた当初よりは、音量を出せるようになっていました。
このように、自分の好きな歌で訓練すると、楽しく飽きずに練習を続けることができます。これが最短で「ファルセット」習得するカギとなります。
ファルセットを出す!と意識しすぎない
「ファルセットを出すこと」をあまり意識しすぎないこともコツの1つです。
なぜなら、それを気にしすぎると、やり方がわからなくなってしまうことがあるからです。
私自身、これまで歌やギターに関して、様々なことを学んできました。その中で、頭で考え過ぎて混乱し、結局どうするのが正解なのかわからなくなってしまう、ということが度々ありました。
このテクニックについても、私は「ファルセットを習得しよう!」と思って練習していたのではありません。その時は、練習しているものが「ファルセット」というテクニックであることを知らなかったからです。
その時は、「ここはどのようにすれば同じように歌えるのだろう?」と思いながら練習していました。ですから、喉を脱力させたり、体をリラックスさせたりするのを時々確認しても、常にそれを意識する必要はありません。
今回解説したことを頭の隅に置きつつ、「この歌い方をしたい!」とあれこれと研究してみるのが良いでしょう。
「ファルセット」を練習する時の注意点
ファルセットを練習するうえで、注意しておくべきことが2つあります。これらを順に解説します。
喉に負担を感じたら休憩する
1つ目は、喉に負担や無理を感じたら休憩することです。
なぜなら、そのまま歌い続けることで喉を傷めてしまうからです。そうなると、歌を歌えなくなってしまいます。
”負担や無理”というのは、喉が痛かったり、カサカサとしたりする状態のことです。
私も過去に、このようなことを何度か経験しました。早くうまくなりたいために、無理をして練習を頑張りすぎてしまったのです。
その結果、喉を傷めてしまいました。その間は練習ができなかったので、結局、習得するまでに時間がかかってしまいました。ですから、「あれ?おかしいな?」と思ったら、すぐに練習をやめましょう。
この「ファルセット」だけでなく、様々なテクニックを習得するには時間がかかります。何事も1日ですぐにできるようになる、ということはないのです。
早くできるようになりたい!と思うあまり、焦って無理をしたくなる気持ちもわかります。ですが、喉を痛めてしまって練習できなくなっては本末転倒です。
ですから、喉に異変を感じたら練習をいったんストップしましょう。そして、十分に休ませた後に、再び挑戦するという方法で練習を続けていきましょう。
音量を「今」無理に上げる必要はない
2つ目は、小さくて弱々しい「ファルセット」の音量を、無理に上げる必要はないということです。なぜなら、正しい出し方ができていれば、時間とともに自然とそれを上げられるようになるからです。
先述の通り、私もファルセットの音量が小さいことに悩んでいました。ですが、納得できる音量で歌えるようになったと感じたのは、その随分後のことです。
それまでの間、様々な曲でファルセットに挑戦しました。そうしているうちに、気付いたらできるようになっていたのです。おそらく喉が鍛えられたのでしょう。
この例からもわかるように、喉が鍛えられるのには時間がかかります。ですから、「”今”絶対に音量を出さなければいけない!」と考えて無理する必要はありません。それで、喉を痛めてしまったらもったいないですからね。
なので、「音量は後からついてくる」と考え、焦らず練習してほしいと思います。
まとめ
ここまで「ファルセット」について解説してきました。
・「ファルセット」は裏声の一種で、息漏れの多い弱々しい声のことである。主に高音で使われる。
・ファルセットを出す時は、「あくび」をした時のように喉を脱力させることが必要。
・体全体がリラックスした状態で歌えるようになると、ファルセットも出しやすくなる。
・鼻歌で、ファルセットに必要な”喉を脱力させる感覚”を知ることができる。
・地声と裏声(ファルセット)を交互に出す練習をする。
・好きな歌手のファルセットを真似る。
・ファルセットを出すことを意識しすぎない。
・喉の異変を感じたら、すぐに練習を中止すること。
・無理に大きなファルセットを出そうと思わないこと。
ファルセットが使えると、歌の雰囲気を変化させることができます。すると、表現力もアップします。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
B型さん

