演歌だけ?「こぶし」とは?歌い方・やり方や出し方の練習方法やコツ

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こんにちは!シンガーソングライターのB型さんです。

Twitter→@sauripon

「“こぶし”ってよく聞くけど、イマイチわかってない…。」「出してみたいけど、どうやれば良いのかわからない」という人は多いですよね。

私自身が「こぶし」練習をする中で、適した練習方法があることに気づきました。これを練習し、さらりと出せるようになると、歌の表現力も格段にアップします。

今回は、「こぶし」とは何か?ということから、入れ方や出し方のコツ、練習方法まで解説していきます。

↓この記事の内容を動画でも解説しています。画面中央の再生ボタンを押してご覧ください。

「こぶし」とは?

「こぶし」とは、楽譜では表しきれないくらいの速さ、細かさで声を揺らすボーカルテクニックです。

声を“揺らす”と聞くと、「ビブラート」を思い浮かべる人もいるでしょう。「ビブラート」とは、音程を上下させて、震えるように音を響かせるテクニックのことです。

ですが、これらは揺れ方に違いがあります。「ビブラート」では、音程を滑らかに、周期的に変えて音を揺らします。これを図で表すと次のようなイメージです。

「ビブラート」については、「歌の「ビブラート」とは?3つの出し方やかけ方、やり方のコツと練習方法」で詳しく解説しています。

これに対して、「こぶし」では音程を“滑らかに”変えることはしません。つまり、音程の差を感じさせるように歌うということです。イメージは、次の図のようなカクカクとした感じの揺れになります。

この「こぶし」という言葉を聞くと、演歌や民謡を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ですが、実はそのようなものだけでなく、ポップスなどの身近なところでも耳にしているのです。

まずは、「こぶし」とはどういうものであるのか、例を見ていきましょう。

演歌や民謡の「こぶし」

まずは王道の演歌の「こぶし」から見ていきましょう。

今回は、石川さゆりさんの「天城越え」を例に挙げてみたいと思います。次の動画の1:04からの部分を見てみましょう。「天城越え」の「ご」に注目して聴いてみてください。

ご覧いただくとわかるように、「ご」の音を細かく揺らしながら歌っているのがお分かりいただけたと思います。

このように、音を瞬間的に細かく揺らすのが「こぶし」です。“揺らす”と言っても、楽譜では表しきれない程の速さと細かさなので、“震わす”と言っても良いでしょう。この時、本人は楽譜の音符通りではなく、“装飾的に”声を揺らしているのです。

この例のような、演歌や民謡で使われる「こぶし」は、裏声と地声を切り替えながら素早く音を変化させる必要があります。そのため、非常に難易度が高いテクニックです。

演歌だけじゃない!洋風の「こぶし」

演歌のイメージがある「こぶし」ですが、日本の歌だけのテクニックというわけではありません。このテクニックと似たものを、洋楽でも聴くことができます。それは、「Riffs & Runs」と呼ばれるものです。

このテクニックは、アメリカの黒人発祥の音楽である「ブラックミュージック」でおなじみです。このことから、そのようなソウルフルな曲では、たびたび使われます。

次の動画では、この「Riffs & Runs」の部分だけが集められています。これを見ると、これがどのようなテクニックであるかがわかるでしょう。

ポップスでも使われる身近な「こぶし」

ここまで紹介した壮大な「こぶし」は、いかにも「プロシンガー!」という、難易度の高いものでした。これを見て「こんなの自分にできるわけない。関係ない。」と思う人は多いかもしれません。私もその1人です。

ですが、何気なくさらりと使われる「こぶし」もあります。これが、映画「アラジン」の実写版で歌われる「A Whole New World」でも登場します。

次の動画の0:52あたりを聞いてみましょう。歌詞で言うと、「For you and me」の「and」の部分です。

ここで、一瞬声が揺れたのが分かったでしょうか。ここが「こぶし」に当たります。

このように、歌の一部でさらりと使われることも少なくありません。もちろん、日本のポップスでもよく用いられています。

こぶしの出し方や入れ方のコツ

演歌やブラックミュージックのような壮大なものでなくても、さらりと「こぶし」が入れられるようになると、表現力は格段にアップします。

なので、ぜひ習得したいですよね!私自身、こぶしについては現在修行中です。その中で「こうすれば良いのではないか?」と思ったことを紹介していきます!

母音を繰り返し、音をぶつ切りにする

こぶしを入れる際に、「母音」を繰り返し、音をぶつ切りにするという方法が有効です。これによって、「こぶし」特有のカクカクとした雰囲気を作り出しやすくなります。

先述の通り「こぶし」は、音程の差を感じさせるように歌うものです。いわば、”音の階段”を作り出すということです。そのためには、それぞれの音をぶつ切りにし、滑らかに繋げないで歌う必要があります。

この時に、音を伸ばさずに「母音」を繰り返し発することで、カクカクとした雰囲気を作りやすくなるのです。

例えば、先ほど例に挙げた、「A Whole New World」の場合で考えてみましょう。

この歌では、「You and me」の「and」のところでこぶしを入れるということでしたね。この「and」のところの発音をカタカナで表すと「エーンド」という感じになります。

しかし、ここを「エーンド」のように伸ばすと、滑らかに音が繋がっているように聞こえます。ですがここで、「エエエエンド」と発音するとカクカクとした感じになります。

このように、音を伸ばさずに、母音を繰り返すことでカクカクした”音の階段”を作り出すようにします。すると、「こぶし」を出しやすくなります。

こぶしを分解し、ゆっくり歌う練習をする

「こぶし」を分解、分析してゆっくり歌うことも有効な方法です。そこから徐々に、元のテンポに戻していくというアプローチの仕方です。

私も、先ほどの「A Whole New World」の「You and me」のところで、これを試してみました。具体的な手順は、次の通りです。

まず、下の図で赤く囲った「and」のところをゆっくり歌い、どのように声が揺れているのかを分析します。ここを、こぶしなしで歌うと次のようになります。

これを歌ってみると次の音声のようになります。左端の再生ボタンを押して聴いてみましょう。

ここからあれこれ歌ってみて、「こんなふうに揺れているのかも!」というものを見つけます。この時、ピアノなどで音を探すと、音を再現しやすくなるのでおすすめです。

この作業の結果、「and」は、次の図のピンクで囲った部分のように歌われているのではないか?と分析しました。

これを歌ってみると次のようになります。

ですが、いきなり「こぶし」を出すのは難しいですよね。そんな時は、まずはゆっくり歌ってみて、徐々に速くしていきます。このような感じですね。

このように、「こぶし」を分解・分析した後、徐々に速くしていく練習を繰り返します。そうすることで、元の速さの「こぶし」ができるようになっていきます。

リズムを大切にする

こぶしを歌う際には、上記のような練習に加えて、「リズム」を重視することも大切です。これを守らなければ、”音の階段”を作り出すことができても、上手に「こぶし」を入れることができないからです。

こぶしを練習するときには、この“音の階段”を作り出すことに一生懸命になります。つまり、「こぶし」で音が揺れている過程の「音程」を守ることに集中してしまいがちなのです。

しかし、これができても、リズムがずれてしまうと気持ち悪く聞こえてしまいます。ですから、歌う時には、“音の階段”以上に“リズム”を守ることを重視してください。

とは言え、リズムに収め、かつ音の階段を作ることも練習したいときもありますよね。そんな時は、先ほど紹介した「ゆっくり歌い、徐々にテンポを上げていく」方法で練習しましょう。

このように、”音の階段”を作り出すのは練習の段階で行います。

そして、いざ歌う時になったら、“音の階段”を作り出すことより“きちんとリズムを合わせること”に集中しましょう。

まとめ

ここまで、「こぶし」のやり方について解説してきました。

・「こぶし」は、楽譜では表しきれないほどの速さと細かさで、声を揺らすテクニックである。

・演歌や民謡の「こぶし」は、音を揺らしながら地声と裏声を切り替える、難易度の高いテクニックである。

・「ブラックミュージック」などにでも、これと似た「Riff and Runs」と呼ばれるテクニックが存在する。

・ポップスなど、身近なところでさらりと使われることも多い。

「こぶし」を練習する時のコツは、

・母音を繰り返し発音することで、音を滑らかに繋げないようにする。

・「こぶし」の音程を分析し、ゆっくり歌う練習をする。そこから、徐々に速くしていく。

・歌う時には、音の階段の「音程」より、「リズム」を守ることを重視する。

歌に「こぶし」が入れられるようになると、表現力が格段にアップします。自由に音を操れる感覚がとても心地よく、歌うことがさらに楽しくなるでしょう。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

B型さん

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